ボツリヌストキシン治療は、ボツリヌス菌から採取されるたんぱく質の成分を筋肉内に注射する治療法です。この治療は、筋肉の過度な緊張が原因で生じるシワを改善したり、小顔治療など、美容目的で認識されていることが多いです。歯科で行うボツリヌストキシン治療は筋肉の張りを柔らげることができるため、就寝時の歯ぎしり・日中の食いしばり・顎関節症・口唇閉鎖不全の緩和を期待できます。
※ボトックス注射はいくつかあるボツリヌストキシン製剤の商品名のひとつです。
当院で行うボツリヌストキシン治療について
歯科で行うボツリヌストキシン治療の目的は、咬む力を和らげることです。歯ぎしりや食いしばりによる歯や筋、顎への負担から生じるトラブルの改善や予防につながります。
当院のボツリヌストキシン製剤はMedytox社製のCORETOXを使用しています。これまでのボツリヌストキシン製剤は、安定化剤としてヒト血清アルブミンや動物由来物質が使われています。しかし、ヒト血清アルブミンに対する副作用として「発熱・低血圧・皮膚炎・じんましん」などがFDAに報告されており、2000年代初頭から欧米諸国ではヒト血清アルブミンや動物由来タンパク質を医薬品の製造工程で使用しないことを推奨しています。CORETOXはヒト血清アルブミンおよび動物由来物質を完全に排除した安全性の高い製剤です。一般的なボツリヌストキシンに比べ耐性がつきにくく、繰り返しの注入でも効果が落ちにくいことが特徴です。また、薬物反応などを最小限に抑えた安定剤を使用しているため、アレルギー反応のリスクも軽減しています。
・複合タンパク質排除
・動物由来原料不使用
・ヒト血清アルブミン不使用
ボツリヌストキシン治療の持続について
ボツリヌストキシン製剤は注入してから約2日~3日、遅くとも2週間ほどで効果が現れ、3~4カ月で減退します。効果が切れてくると徐々に神経の働きが回復し、注入前の状態へと戻っていきます。その場合、再度注入することで再び効果が現れます。ボツリヌストキシン製剤は繰り返し注入することで効果が長持ちするようになり、改善率も向上します。
ボツリヌストキシン治療部位別の効果
ボツリヌストキシン注入部位
- 咬筋: 食いしばり・歯ぎしりの改善、歯牙および補綴物の破折の予防が期待できます。またインプラント周囲炎・骨隆起・咬傷等による粘膜疾患・補綴物脱離を予防し、頭痛・肩こり・首こり等の改善も期待できます。
ボツリヌストキシン治療の起こりうる副作用
- アレルギー反応
- 注射の痛み(刺入点の一時的な傷)・内出血・赤み・腫れ・痒み
- 倦怠感
- 表情の違和感・不自然さ・左右の非対称感
- 咬合力の一過性の弱まり
- 効果の減退(効果は術後2、3日から2週間で現れ、3~4カ月で減退しますが、繰り返し施術することでその効果が長持ちするようになります)
ボツリヌストキシン治療が受けられない方
下記の項目に1つでも当てはまる方は施術をうけていただくことができません。
・ボツリヌス毒素や血液製剤に対する過敏性
・重症筋無力症、筋委縮性硬化症、ランバート・イートン症候群など神経接合部疾患
・アミノグリコシド系/リンコマイシン系抗菌薬、Caチャネル阻害薬(アムロジン等)、筋弛緩薬(ダントロレン)の内服
・妊娠や授乳中
・妊娠予定のある方
・15歳未満
・抗凝固剤の服用
・ボツリヌストキシン製剤の年間総投与量が200単位を超える方
・2週間以内に献血予定
・緑内障・喘息・糖尿病等の疾患がある方は主治医にお申し出ください
ボツリヌストキシン治療の料金
ボツリヌストキシン注入療法 |
¥32,000 (税別) |